葛根湯の効果とは|効く症状・飲むタイミング・副作用の注意
葛根湯の効果と効く症状を、添付文書などの公的情報をもとに解説します。風邪のひき始めに用いる理由や飲むタイミング・飲み方、効きにくいケース、麻黄・甘草による副作用や注意が必要な人、麻黄湯・桂枝湯との使い分け、処方の流れと保険までを整理します。
感冒(かぜ)もオンラインで相談できます
ご自宅からスマホで受診いただけます。
「葛根湯(かっこんとう)は結局どんな症状に効くの?」「風邪のひき始めに飲むとよい、と聞くけれど本当?」と気になる方は多いと思います。この記事では、医療用の葛根湯エキス製剤について、効く症状と効きにくいケース、飲むタイミングや飲み方、麻黄(マオウ)・甘草(カンゾウ)による副作用と注意が必要な人、似た漢方との使い分け、処方の流れと保険までを、添付文書などの公的情報をもとに整理します。葛根湯は医師の診察・判断にもとづいて処方される医療用医薬品で、保険が使えるかどうかは診察の内容によって異なります。
まず知りたい要点(結論)
この記事のポイント
- 葛根湯は、自然に汗が出ておらず、寒気・頭痛・肩や首のこわばりを伴う、比較的体力のある方の「風邪のひき始め」などに用いられる漢方です。
- 風邪以外にも、肩こり・上半身の神経痛・じんましんなどに用いられることがあります。
- すでに汗をたくさんかいている、高熱が長く続く、体力が弱っているといった状態には向きにくいとされます。
- 麻黄(マオウ)・甘草(カンゾウ)を含むため、動悸・血圧上昇や偽アルドステロン症などに注意が必要で、持病のある方は事前に医師へ相談します。
- 医療用の葛根湯は保険適用の対象となる医療用医薬品で、処方は医師の診察・判断を経て行われます。
葛根湯とは|漢方エキス製剤と7つの生薬
葛根湯は、感冒の初期などに用いられる代表的な漢方エキス製剤です。医療用では、通常、成人1日量7.5gを2〜3回に分けて服用します。葛根(カッコン)を主薬に、麻黄・桂皮(ケイヒ)・芍薬(シャクヤク)・甘草・生姜(ショウキョウ)・大棗(タイソウ)を加えた計7種の生薬から構成されます。ツムラの医療用製剤では、本品7.5g中に混合生薬の乾燥エキス3.75gを含み、その内訳は次のとおりとされています。処方の可否や用量は、体質や症状をふまえて医師が判断します。葛根湯の基本的な情報は、葛根湯(医療用)の解説ページでも確認できます。
| 生薬名 | 分量(本品7.5g中) |
|---|---|
| 葛根(カッコン) | 4.0g |
| 大棗(タイソウ) | 3.0g |
| 麻黄(マオウ) | 3.0g |
| 甘草(カンゾウ) | 2.0g |
| 桂皮(ケイヒ) | 2.0g |
| 芍薬(シャクヤク) | 2.0g |
| 生姜(ショウキョウ) | 2.0g |
このうち麻黄と甘草は、後で説明する副作用・注意点に関わる生薬です。急性期向けの処方として位置づけられています。
葛根湯はどんな症状に効く?(効果・効能)
葛根湯は、自然に汗が出ておらず、頭痛・発熱・悪寒(寒気)・肩こりなどを伴う、比較的体力のある方の次のような症状に用いられるとされています。添付文書に記載された効能・効果は、次のとおりです。
- 感冒(かぜ)、鼻かぜ、熱性疾患の初期
- 炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)
- 肩こり
- 上半身の神経痛
- じんましん
このように、葛根湯は「風邪のひき始め」だけでなく、肩こりや上半身の神経痛など、風邪以外の症状にも使われることがあります。かぜのような症状の疾患については感冒(かぜ症候群)の解説や急性上気道炎の解説もあわせてご覧ください。どの症状に用いるか、また葛根湯が適しているかどうかは、医師の診察によって判断されます。
豆知識:葛根湯の「効き方」について
葛根湯は、複数の生薬が総合的に作用すると考えられており、ひとつの成分の働きだけで説明されるものではありません。添付文書にも詳しい作用のしくみ(機序)は記載されておらず、体表の症状に対して用いられる処方とされています。
効果的な飲むタイミングと飲み方
葛根湯は、風邪の「ひき始め」に用いられる漢方です。ここでいうひき始めとは、まだ汗をかいておらず、ゾクゾクとした寒気があり、首や肩がこわばるように感じる時期の目安を指します。飲み方の基本は次のとおりです。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 1日の量(成人) | 7.5gを2〜3回に分割 |
| 飲むタイミング | 食前または食間(空腹時) |
| 飲むもの | 水または白湯(さゆ)で服用 |
| 用量の調整 | 年齢・体重・症状により医師が適宜増減 |
効果の現れ方には個人差があるとされています。何時間で効く、と一律に決まっているものではありません。また服用を続ける期間についても症状によって異なります。漫然と長く飲み続けず、症状が改善しない場合や、かえって悪化する場合は医師にご相談ください。
注意
用量は症状などに応じて医師が調整します。効きが悪いと感じても、自己判断で量を増やしたり、他のかぜ薬と重ねて飲んだりしないようにします。飲み合わせについては後の章で説明します。
効きにくい・向かないのはどんなとき?
葛根湯は、飲む方の状態(漢方でいう「証(しょう)」)によって、向く場合と向きにくい場合があります。効能・効果は「自然発汗がなく、比較的体力のある方」を対象としているため、すでに汗をかいている状態や体力が弱っている状態には向きにくいとされます。次の流れで、おおまかな目安を確認してみましょう。
まだ汗をかいておらず、寒気がして、首や肩がこわばる。比較的体力はある?
葛根湯が用いられる状態の目安にあたります。次の項目も確認します。
葛根湯以外の対応が検討される場合があります。医師・薬剤師にご相談ください。
すでに汗をたくさんかいている/高熱が長く続く/もともと胃腸が弱い・体力が弱っている?
葛根湯は向きにくいとされます。別の漢方や治療が検討されるため、医師にご相談ください。
ひき始めの目安に近い状態です。用法を守って服用し、経過を確認します。
受診の目安
服用しても症状が改善しない、または悪化する場合や、高熱・強い喉の痛み・息苦しさなどがある場合は、早めに医療機関へご相談ください。どの薬が適しているかは、状態をふまえて医師が判断します。
副作用・注意が必要な人
葛根湯にも副作用や、使用にあたって注意が必要な人があります。とくに麻黄・甘草を含むことに関連した注意点があります。
主な副作用
主な副作用として、次のような症状が報告されています(いずれも頻度は不明とされています)。
- 過敏症:発疹、発赤、そう痒(かゆみ)など
- 自律神経系:不眠、発汗過多、頻脈、動悸
- 消化器:食欲不振、胃部不快感、悪心(吐き気)、嘔吐など
- 泌尿器:排尿障害など
重大な副作用
頻度は低いものの、次のような重大な副作用があらわれる場合があります。
こんな症状に気づいたら服用を中止し、医師へ相談
偽アルドステロン症・低カリウム血症・ミオパチー:甘草を含むため、血圧上昇、むくみ、体重増加、脱力感、筋肉痛、こわばりなどがあらわれる場合があります。肝機能障害・黄疸:AST・ALTなどの上昇を伴う肝機能障害や黄疸があらわれる場合があります。また麻黄を含むため、不眠・発汗過多・頻脈・動悸・全身の脱力感・精神興奮などがあらわれる場合があります。
注意が必要な人(慎重に使用する方)
葛根湯の添付文書では、次のような方は慎重に投与するとされています。あてはまる方は、事前に医師・薬剤師へお伝えください。
- 著しく胃腸の虚弱な方
- 食欲不振、悪心、嘔吐のある方
- 発汗傾向の著しい方
- 狭心症、心筋梗塞など循環器系の障害のある方、またはその既往歴のある方
- 重症高血圧症の方
- 高度の腎障害のある方
- 排尿障害のある方
- 甲状腺機能亢進症の方
飲み合わせ(併用に注意する薬)
葛根湯は、次のような薬との併用に注意が必要とされています。服用中のお薬がある場合は、市販薬やサプリメントも含めて医師・薬剤師にお伝えください。
| 併用に注意する薬 | 注意される内容 |
|---|---|
| マオウ含有製剤、エフェドリン類含有製剤 | 交感神経を刺激する作用が強まり、不眠・発汗過多・頻脈・動悸などがあらわれることがあります。 |
| MAO阻害剤 | |
| 甲状腺製剤(甲状腺末、乾燥甲状腺など) | |
| カテコールアミン製剤(アドレナリン、イソプレナリンなど) | |
| キサンチン系製剤(テオフィリンなど) | |
| カンゾウ含有製剤、グリチルリチン酸およびその塩類を含む製剤 | 偽アルドステロン症、低カリウム血症があらわれやすくなります。 |
市販の総合感冒薬や、他の甘草を含む漢方薬と重なると、成分が重複することがあります。併用してよいかどうかは医師が判断します。
妊娠中・授乳中・子ども・高齢者
葛根湯の添付文書には、絶対に使ってはいけないとする「禁忌」の記載はありません。妊娠中の扱いについては、次のとおりです。
- 妊娠中:妊婦または妊娠している可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与されます。「禁忌(使ってはいけない)」ではありませんが、自己判断はせず医師にご相談ください。
- 授乳中:治療上の有益性と、母乳で育てることの有益性を考慮して、授乳の継続または中止が検討されます。
- 子ども:小児等を対象とした臨床試験は実施されていないため、使用の可否・用量は医師の判断によります。
- 高齢の方:一般に生理機能が低下しているため、減量するなど注意して使用します。
似た漢方との使い分け(麻黄湯・桂枝湯)
風邪のひき始めに用いられる漢方には、葛根湯のほかにも麻黄湯(まおうとう)や桂枝湯(けいしとう)などがあります。どれを使うかは、汗の有無や体力、症状の出方によって医師が判断します。おおまかな使い分けの目安は次のとおりです。
| 漢方 | 向くとされるタイプの目安 | 麻黄の有無 |
|---|---|---|
| 葛根湯 | 自然発汗がなく、寒気・肩や首のこわばりを伴う、比較的体力のある方の感冒初期など | 含む |
| 麻黄湯 | 悪寒・発熱・身体の痛みを伴う、比較的体力のある方の感冒・インフルエンザ初期など | 含む |
| 桂枝湯 | 体力が虚弱で、汗が出やすいタイプの方の感冒初期など | 含まない |
このほか、症状によっては別の漢方や薬が選ばれることもあります。たとえば喉の痛みが強いときには桔梗湯、咳や痰が気になるときには麦門冬湯が用いられることがあります。発熱や痛みそのものをやわらげる目的では、カロナール(アセトアミノフェン)などの西洋薬が使われる場合もあります。いずれも、症状や体質をふまえて医師が選択します。
処方の流れと費用・保険
医療用の葛根湯は、医師の診察・判断にもとづいて処方される医療用医薬品です。オンライン診療で処方を受けられる場合もありますが、処方の可否は症状や診察内容に応じて医師が判断します。おおまかな流れは次のとおりです。
-
症状を整理して予約・問診する
いつからどんな症状があるか(寒気・汗の有無・肩や首のこわばりなど)を整理し、予約して問診に回答します。
-
医師の診察・判断を受ける
医師が症状や体質を確認し、葛根湯が適しているか、他の対応がよいかを判断します。
-
処方、または対面受診の案内を受ける
処方が適切と判断されれば処方されます。対面での診察や検査が必要と判断された場合は、対面受診が案内されます。
費用については、医療用の葛根湯エキス顆粒は保険適用の対象となる医療用医薬品で、薬価は1gあたり13.40円とされています(2023年12月改訂の添付文書などに基づく情報で、薬価は改定により変動する場合があります)。ただし、保険が使えるかどうかは診察の内容によって異なり、要件を満たせば保険診療となる一方、対面での診察が必要と判断された場合には対面受診が案内されます。実際のご負担は保険適用の有無や自己負担割合によって変わります。詳しくは料金のページや、葛根湯のオンライン診療・処方についての解説をご確認ください。
なお、同じ名前の一般用漢方製剤(市販のOTC)もありますが、生薬の分量や、認められている効能・効果の範囲が医療用と異なる場合があります。市販のものを使う際も、持病やほかのお薬がある方は、あらかじめ医師・薬剤師にご相談ください。
まとめ
葛根湯は、自然に汗が出ておらず、寒気や首・肩のこわばりを伴う、比較的体力のある方の風邪のひき始めなどに用いられる漢方で、肩こりや上半身の神経痛、じんましんなどにも使われることがあります。一方で、すでに汗をかいている・高熱が長引く・体力が弱っているといった状態には向きにくいとされます。麻黄・甘草を含むため、動悸や偽アルドステロン症などの副作用に注意し、持病のある方や妊娠中・授乳中の方、お子さん、高齢の方は、あらかじめ医師にご相談ください。医療用の葛根湯は保険適用の対象となる医療用医薬品で、処方は医師の診察・判断を経て行われます。葛根湯の使いどころや処方については、葛根湯の解説ページもあわせてご覧ください。
葛根湯に関するよくある質問
葛根湯は麻黄(マオウ)を含むため、主な副作用として不眠・発汗過多・頻脈・動悸などが報告されています。眠気は主な副作用としては記載されていません。
ただし、感じ方には個人差があります。気になる症状があらわれた場合は服用を中止し、医師・薬剤師にご相談ください。
葛根湯の効能・効果は、感冒や鼻かぜ、熱性疾患の初期など「ひき始め」の時期が対象とされています。すでに汗をかいて進行した段階には向きにくいとされます。
風邪の予防目的での使用は、承認された使い方ではありません。使用の可否は医師の判断によりますので、自己判断せずご相談ください。
小児等を対象とした臨床試験は実施されていないため、子どもへの使用の可否や用量は医師の判断によります。
高齢の方は、一般に生理機能が低下しているため、減量するなど注意して使用します。持病やほかのお薬がある場合は、あらかじめ医師にお伝えください。
甘草(カンゾウ)を含む他の漢方薬やグリチルリチン酸を含む製剤と併用すると、偽アルドステロン症や低カリウム血症があらわれやすくなるとされています。また麻黄を含むため、エフェドリン類含有製剤・MAO阻害剤・甲状腺製剤などとの併用にも注意が必要です。
市販の総合感冒薬やサプリメントも含めて、服用中のものは医師・薬剤師にお伝えください。併用の可否は医師が判断します。
同じ名前の一般用漢方製剤(市販のOTC)もありますが、生薬の分量や、認められている効能・効果の範囲が医療用と異なる場合があります。
医療用の葛根湯は、医師の診察・判断にもとづいて処方される医療用医薬品です。どちらを使う場合も、持病やほかのお薬がある方は医師・薬剤師にご相談ください。
参考文献
- ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)添付文書|株式会社ツムラ(medical.tsumura.co.jp、2026年8月14日参照)
- ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)|日経メディカル処方薬事典(medical.nikkeibp.co.jp、2026年8月14日参照)
- ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)|くすりのしおり(rad-ar.or.jp、2026年8月14日参照)
石川雅俊(いしかわ まさとし) 医師/博士(医療福祉経営学)/公衆衛生学修士(MPH) 2005年筑波大学医学専門学群卒業。臨床研修を経て内科を中心に診療に従事したのち、2008年…
最終更新日:2026年8月 / 本ページの情報は一般的な医学的知見に基づくものであり、個別の診断・治療を保証するものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
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