1日200名以上の患者様に
ご利用いただいています
※2023年1月〜2026年5月末までのグループ全体累計受診数。
多汗症について
多汗症は、体温調節に必要な量を超えて汗が過剰に出て、日常生活に支障をきたす状態です。原因のはっきりしない「原発性多汗症」と、甲状腺機能亢進症などの基礎疾患や薬剤が背景にある「続発性多汗症」に分けられ、汗の出る範囲によって手のひら・足の裏・わきの下・頭部や顔面などに限られる「局所性」と、全身に及ぶ「全身性」に分類されます。原発性局所多汗症は、明らかな原因がないまま左右対称性の過剰な発汗が続く体質的な病態と考えられています。汗そのものは病気ではありませんが、量が多く生活の質を下げる場合には、皮膚科での相談や治療の対象となります。診断や治療方針は医師の診察・判断によります。
- 汗が過剰に出て日常生活に支障が出る状態を指します
- 原因不明の「原発性」と、基礎疾患・薬剤による「続発性」に分けられます
- 手のひら・足の裏・わき・頭部顔面など部位別の局所性と、全身性があります
- 塗り薬・飲み薬・イオントフォレーシス・ボツリヌス毒素注射・手術など段階的な治療法があります
- 治療の目標は発汗をゼロにすることではなく、生活の質の改善に置かれます
多汗症の症状
主な症状は、手のひら・足の裏・わきの下・頭部や顔面などに、温熱や精神的な緊張のほか、それらによらずに大量の汗が出ることです。原発性局所多汗症では左右対称に汗がみられ、睡眠中は発汗が止まることが多いとされています。汗により皮膚が常に濡れると、赤くなって炎症を起こしたり、白くふやけてしわがより、ひび割れたりすることがあり、においを生じる場合もあります。また、汗が気になることで不安や恥ずかしさを感じ、仕事・学業・対人関係など生活の幅広い場面に影響が及ぶことが報告されています。
病型・タイプ
多汗症は発汗の範囲と原因により分類されます。
- 全身性多汗症:全身の発汗が増える。原因のない原発性(特発性)と、他の疾患に伴う続発性がある
- 局所性多汗症:体の一部の発汗が増える。原発性(特発性)と続発性がある
- 原発性局所多汗症の部位別:手掌(手のひら)、足底(足の裏)、腋窩(わきの下)、頭部・顔面
- 続発性の例:甲状腺機能亢進症などの内分泌・代謝疾患、感染症、悪性腫瘍、神経疾患、薬剤性、耳下腺手術後などのFrey症候群
初期症状・前兆
手のひら・足の裏の多汗は青年期までに現れることが多く、家族歴がみられることもあります。国内の報告では、発汗が始まる平均年齢は手のひらで13.8歳、足の裏で15.9歳、わきの下で19.5歳、頭部で21.2歳とされています。緊張・不安・痛みなどの精神的な負荷や、頭部・顔面では辛い食品による味覚性の発汗をきっかけに汗が増えることがあります。
原発性局所多汗症そのものは命に関わる病気ではありませんが、過剰な発汗が続くと皮膚の炎症・ふやけ・ひび割れや、においの原因となることがあります。汗が気になる状態が長く続くと、社会活動や対人関係に影響し、生活の質が下がることが報告されており、一部では不安障害やうつ傾向を伴う場合があるとされています。続発性多汗症では、背景にある基礎疾患を治療しないまま経過すると、その疾患自体が進行する可能性があります。経過や合併症の見立ては医師の診察・判断によります。
多汗症の原因
原発性局所多汗症の原因は明らかになっていません。多汗症の方の汗腺は健常者と比べて数や大きさに違いがないことから、汗腺そのものではなく発汗機能が過剰に働いている状態と考えられています。手のひら・足の裏の多汗は青年期までに発症し家族歴がみられることが多く、発汗をつかさどる交感神経の過活動が遺伝的な背景で生じている可能性が指摘されています。一方、続発性多汗症は、甲状腺機能亢進症・褐色細胞腫・低血糖などの内分泌代謝疾患、感染症、悪性腫瘍、神経疾患、薬剤など、他の原因によって起こります。
病態メカニズム
汗を出すエクリン汗腺は主に体温調節を担い、皮膚表面の適度な湿りを保つ役割も持ちます。発汗は、温熱による温熱性発汗、緊張や不安などによる精神性発汗、辛い食品などによる味覚性発汗に分けられます。手のひら・足の裏は温熱ではなく精神的な刺激で汗が出やすく、睡眠中は発汗が止まる特徴があります。原発性局所多汗症では、これらの発汗を調節する神経の入力に対して、病的に持続する過剰な発汗が生じると考えられています。
なりやすい人・リスク要因
原発性局所多汗症は、家族歴がある方でみられやすいことが報告されています。手のひら・足の裏・わき・頭部顔面の多汗は青年期から若年成人に多く、国内調査では20〜49歳で有病率が高い傾向がみられました。続発性多汗症では、甲状腺機能亢進症などの内分泌代謝疾患、感染症、悪性腫瘍、神経疾患をお持ちの方や、原因となる薬剤を使用している方で汗が増えることがあります。
多汗症の診断・検査
問診で発汗の部位・程度・経過・家族歴などを確認します。原発性局所多汗症では、明らかな原因がないまま局所的な過剰発汗が6か月以上続き、次の6項目のうち2項目以上に当てはまることが診断の目安とされています。
- 最初に症状が出るのが25歳以下である
- 左右対称性に発汗がみられる
- 睡眠中は発汗が止まっている
- 1週間に1回以上、多汗のエピソードがある
- 家族歴がみられる
- それらにより日常生活に支障をきたす
発汗量の評価には、ヨウ素とでんぷんを使って発汗部位を染めるヨード紙法・Minor法などの定性的検査や、ろ紙を用いた重量計測法、換気カプセル法などの定量的検査が用いられます。重症度は、自覚症状で4段階に分けるHDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale)などで評価されます。診断は医師の診察・判断によります。
似た疾患・鑑別
続発性多汗症の原因となる、または汗の症状が似る疾患として、次のものがあります。原因の見極めには医師の診察が必要です。
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
- 褐色細胞腫
- 低血糖
- 末端肥大症
- 感染症(結核など)
- 悪性腫瘍
- 神経疾患(パーキンソン病など)
- Frey症候群(耳下腺の手術・外傷後の食事時の発汗)
多汗症の治療・治し方
原発性局所多汗症の治療は、患者さん本人が困っている場合に、生活の質の改善を目標として始められます。汗の部位ごとに、体への負担や費用が少ない方法から段階的に進めることが推奨されており、塗り薬・飲み薬・水道水イオントフォレーシス・ボツリヌス毒素の局所注射・交感神経遮断術などがあります。保険が適用される治療と適用外の治療が混在するため、年齢・職業・生活環境などをふまえ、医師と相談して治療を選びます。続発性多汗症では、背景にある基礎疾患の治療が中心となります。第一選択や薬剤の選択は医師の診察・判断によります。
- 外用抗コリン薬:わきの下にはソフピロニウム臭化物やグリコピロニウムトシル酸塩水和物のゲル・シート、手のひらにはオキシブチニン塩酸塩のローションなどが保険適用の塗り薬として用いられます
- 塩化アルミニウム外用:単純外用や密封療法(ODT)で用いられますが、保険適用の外用薬がなく院内製剤として処方されます
- 水道水イオントフォレーシス:手のひら・足の裏に対して、微弱な電流を流す治療法です
- 内服抗コリン薬:プロパンテリン臭化物(プロ・バンサイン)が国内で多汗症に保険適用を持つ内服薬です
- A型ボツリヌス毒素の局所注射:重度の原発性腋窩多汗症では保険が適用されます
- 交感神経遮断術(ETS):重症で保存的治療に抵抗性のある場合に、本人の強い希望と十分な説明・同意のうえで検討されます
急性期・発作時の治療
多汗症は発作的な救急対応を要する病気ではなく、慢性的な経過に対して継続的な治療を行います。緊張する場面などで一時的に汗が気になるときは、塗り薬で対応したり、汗を吸収・目立ちにくくする衣類や汗ふきシート、制汗用品を活用したりする方法があります。ただし、突然の大量発汗に胸の痛み・動悸・意識がもうろうとするなどを伴う場合は、別の緊急性のある病気の可能性があり、速やかな受診が必要です。
予防・慢性期の治療
慢性期・予防的な対応としては、塗り薬(外用抗コリン薬や塩化アルミニウム)を継続し、効果や部位に応じて水道水イオントフォレーシス、内服抗コリン薬、ボツリヌス毒素注射などを組み合わせます。汗をゼロにするのではなく、生活の質を保つことを目標に、医師と相談しながら治療を続けます。続発性多汗症では、原因となる基礎疾患の治療を継続することが症状の改善につながります。
日常生活では、汗を吸収しやすく乾きやすい衣類やわき汗パッドを使う、こまめに汗をふく、市販の制汗剤を利用するといったセルフケアで、汗による不快感を和らげられる場合があります。皮膚が濡れた状態が続くと炎症やふやけの原因になるため、清潔と乾燥を保つことも大切です。これらは症状を和らげる補助であり、根本的な治療ではありません。汗が生活に支障をきたす場合や、セルフケアで対応しきれない場合は、自己判断で我慢し続けず、皮膚科など医療機関に相談してください。
予防・生活習慣
原発性局所多汗症は体質的な要素が大きく、確立された予防法は分かっていません。緊張・不安などの精神的な負荷で汗が増えやすい部位があるため、リラックスできる環境づくりが助けになる場合があります。続発性多汗症では、原因となる基礎疾患を適切に管理することが、症状の悪化を防ぐことにつながります。生活習慣や体質に不安がある場合は、医師に相談してください。
治療期間・見通し
原発性局所多汗症は体質的な背景を持つ慢性の状態で、治療は症状をコントロールしながら継続することが基本となります。塗り薬や飲み薬は効果がある間は続け、効果や副作用をみながら調整します。ボツリヌス毒素注射は効果が一定期間持続しますが、繰り返しの治療が必要になることがあります。治療期間や見通しは、部位・重症度・選ぶ治療法によって異なり、医師の診察・判断によります。
受診の目安・オンライン診療
受診の目安
汗の量が多く、仕事・学業・対人関係など日常生活に支障を感じる場合は、皮膚科への受診を検討してください。国内では多汗症の有病率は低くない一方で、医療機関を受診する方は少ないと報告されています。市販の制汗用品などで対応しきれない、皮膚のトラブルを繰り返す、汗のことで不安や気分の落ち込みが続くといった場合も、我慢せず相談することがすすめられます。とくに、成人してからの急な発症、片側だけの発汗、全身の発汗増加に体重減少や発熱を伴う場合は、続発性多汗症の可能性があるため、早めの受診が必要です。
次のような場合は、多汗症以外の緊急性のある病気や基礎疾患の可能性があり、救急または対面での速やかな受診・精査が必要です。
- 突然の大量発汗・冷や汗に、胸の痛み・激しい動悸・息苦しさを伴う(循環器などの病気のサインのおそれ)
- 冷や汗とともに、意識がもうろうとする・強い空腹感・手の震え・ふらつきがある(低血糖などのおそれ)
- 全身の発汗が増え、体重減少・発熱・手の震え・動悸・眼の突出などを伴う(甲状腺機能亢進症などの内分泌疾患のおそれ)
- 成人してから急に発症した、片側だけに汗が出る、夜間の寝汗が続くなど、原発性とは異なる経過がみられる(続発性多汗症の精査が必要)
- 発汗とともに強い倦怠感・原因不明の体調不良が続く
オンライン診療でできること
オンライン診療では、医師の判断のもとで、問診による症状の確認や、保険適用のある外用抗コリン薬・内服薬などの処方、汗への対処に関する生活面のアドバイス、治療開始後の経過のフォローに対応できる場合があります。仕事や学業で通院時間を取りにくい方や、継続的に塗り薬・飲み薬を使う場合の再診に活用しやすい方法です。対応できる範囲や処方の可否は、症状や医師の判断によります。受診の流れもあわせてご確認ください。
対面受診が必要なケース
次のような場合は、対面での診察・検査が必要です。
- ヨード紙法・換気カプセル法などの発汗検査で重症度を評価する場合
- 水道水イオントフォレーシスやボツリヌス毒素の局所注射など、処置を伴う治療を行う場合
- 交感神経遮断術などの手術を検討する場合
- 成人後の急な発症・片側性・全身性など、続発性多汗症が疑われ、甲状腺機能などの血液検査や画像検査が必要な場合
- 皮膚の炎症やトラブルが強く、直接の視診が必要な場合
費用の目安
多汗症の治療には、公的医療保険が使える治療と、保険適用外の治療があります。外用抗コリン薬や内服のプロパンテリン臭化物、水道水イオントフォレーシス、重度の原発性腋窩多汗症に対するA型ボツリヌス毒素注射などは保険が適用されます。一方、塩化アルミニウム外用(院内製剤)や、腋窩以外へのボツリヌス毒素注射などは保険適用外となる場合があります。自己負担の具体的な金額は、治療法・医療機関・保険の適用状況によって異なります。詳しくは料金・保険をご確認ください。
※ 記載は一般的な医学的知見に基づく情報です。実際の診断・治療は医師の診察と判断によります。症状が重い・急な場合は対面受診や救急をご検討ください。
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※ 対面診療の待ち時間・診療時間は一般的な目安です。症状や医療機関により異なります。
多汗症の治療で
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選ばれる5つの理由
はじめての方にも、続けて通う方にも。
多汗症で
処方できるお薬
診察のうえ、症状に合わせて医師が処方します。
汗を出す神経の働きを抑える抗コリン作用のある外用薬(ゲル)です。原発性腋窩多汗症による、わきの過剰な汗をやわらげます。1日1回わきに塗るタイプで、症状の軽減が期待できます。医師の診察のうえ処方されます。
グリコピロニウムトシル酸塩外用の詳細はこちら›汗を出す神経の働きを抑える抗コリン薬(プロパンテリン)の内服薬です。多汗症による過剰な発汗をやわらげます。1日3回の服用で汗の症状の軽減が期待でき、医師の診察のうえ処方されます。
プロバンサインの詳細はこちら›汗を出す神経の働きを抑える抗コリン薬の内服薬です。多汗症による過剰な発汗をやわらげます。プロバンサインの有効成分としても知られ、1日3回の服用で汗の症状の軽減が期待できます。医師の診察のうえ処方されます。
プロパンテリンの詳細はこちら›ワイプ(拭き取りシート)タイプの抗コリン外用薬で、汗の分泌を促す神経伝達を抑えます。わきの過剰な発汗(腋窩多汗症)の治療に使われ、塗り薬として手軽に使える点が特長です。
ラピフォートワイプの詳細はこちら›汗を出す神経の働きを抑える抗コリン作用のある外用薬です。原発性腋窩多汗症による、わきの過剰な汗をやわらげます。薬液を含んだワイプでわきをふき取る使い方で、1日1回の使用により症状の軽減が期待できます。
ソフピロニウム外用の詳細はこちら›※ 実際の処方は診察に基づき決定します。市販できない医療用医薬品も医師の判断で処方可能です。
お薬の受け取り方法
2つの方法から選べます
薬剤師による服薬指導のあと、ポスト投函でご自宅へ配送。最短翌日の受け取りも可能です。
(※一部エリアは追加料金で当日到着便もご利用いただけます)
受け取りの薬局は全国どこでもご自身で指定できます。指定した薬局で、診察後30分程度でお薬を受け取れます。
料金・保険について
健康保険が使えます。お支払いはオンラインで完結。
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※ お薬の金額はご利用いただく保険種別及び受給証、お薬の薬価等によって変動致します。
下記の決済方法がご利用いただけます。
多汗症で利用された
患者様の声
手のひらの汗がひどく、書類やタブレットが濡れてしまうのが仕事中の悩みでした。皮膚科に行くのが恥ずかしくて我慢していましたが、オンラインなら人目を気にせず相談できました。医師に部位を伝えて塩化アルミニウムの外用薬を保険適用で処方してもらい、翌日には届いて、少しずつ手汗が気にならなくなりました。
脇汗でシャツにしみができるのが気になり、夏は特に人前に出るのがつらかったです。通院の時間が取れずにいましたが、スマホから予約不要で受診できて助かりました。医師が症状を確認して脇用の外用薬を処方してくれ、お薬も自宅に届いたので周囲に知られず続けられます。仕事への集中も戻ってきました。
緊張すると脇も手も汗が止まらず、商談や会食のたびに憂うつでした。誰かに相談するのもためらっていましたが、オンライン診療なら自宅から落ち着いて話せました。医師に生活への支障を伝えたうえで外用薬を保険適用で処方してもらい、最短当日でお薬が届いたのも助かりました。汗の不安が減り前向きになれています。
受診に関するよくある質問
石川雅俊(いしかわ まさとし) 医師/博士(医療福祉経営学)/公衆衛生学修士(MPH) 2005年筑波大学医学専門学群卒業。臨床研修を経て内科を中心に診療に従事したのち、2008年KPMGヘルスケアジャパン株式会社に参画し、ヘルスケア産業のアドバイザリー業務に従事(2012年マネージャー、2013年KPMGオーストラリア駐在)。2014年より国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授。2016年から2018年まで厚生労働省医政局総務課課長補佐として医療提供体制に関する政策立案に携わる。2018年日本医師会ハーバード大学武見フェロー、2020年ジョンズホプキンス大学公衆衛生大学院修士課程修了。 現在、東京医療保健大学特任教授、筑波大学医学医療系客員教授。日本医療経営学会理事・編集委員、日本医療・病院管理学会評議員、BMC Health Services Research編集委員を務める。医師の働き方改革、タスクシフティング、地域包括ケアにおける臨床指標開発などをテーマに、査読付き論文49編以上を発表。
最終更新日:2026年7月 / 本ページの情報は一般的な医学的知見に基づくものであり、個別の診断・治療を保証するものではありません。
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