扁桃炎はうつる?原因・感染経路・うつる期間と家庭内の予防
扁桃炎はうつるのか、原因となるウイルスや溶連菌の感染経路・うつる期間・潜伏期間を整理し、家族や子どもへうつさない予防、仕事や学校の復帰の目安、受診のサインまで、公的情報をもとにわかりやすく解説します。
急性咽頭炎もオンラインで相談できます
ご自宅からスマホで受診いただけます。
のどが腫れて高い熱が出ると、「家族や職場の人にうつしてしまわないか」「うつされて自分もなったのでは」と心配になりますよね。この記事では、扁桃炎はうつるのかという疑問に、原因となるウイルスや細菌(とくに溶連菌)の感染経路・うつる期間・潜伏期間から、家庭内でうつさない予防、仕事や学校の復帰の目安、受診したほうがよいサインまでを、公的機関の情報をもとに整理します。結論から言うと、「扁桃炎」という状態がそのまま人にうつるわけではありませんが、その原因になる病原体は人から人へうつることがあります。
まず知りたい要点(結論)
この記事のポイント
- うつるのは「扁桃炎という炎症」そのものではなく、原因になるウイルスや細菌(とくにA群溶連菌)です。うつった相手が扁桃炎やのどの炎症を起こすことがあります。
- うつりやすさや期間は原因で変わります。のどの感染症の多くはウイルス性で、一部が溶連菌などの細菌によるものとされています。
- 溶連菌の場合、抗菌薬を飲み始めておおむね24時間がたち全身状態がよければ、人にうつす力は大きく下がるとされています。
- 予防は手洗い・うがい・マスク・部屋の加湿、コップやタオルを分けることが基本です。溶連菌は主に5〜15歳のお子さんに多くみられます。
- 息が苦しい・水が飲み込めずよだれが出る・口が開けにくいなどは急いで受診が必要なサインです。高熱や強いのどの痛みが続くときも早めに受診しましょう。
扁桃炎はうつる?うつるのは「炎症」ではなく「原因の病原体」
扁桃炎は、うつるかどうかを一言で言い切りにくい病気です。ポイントは、「扁桃炎という炎症そのもの」がうつるのではなく、「その原因になる病原体」がうつるという点にあります。扁桃炎は、のどの奥にある扁桃にウイルスや細菌が感染して炎症が起きた状態です。急性咽頭炎(扁桃咽頭炎を含む)の一部で、炎症が扁桃にも及んだものにあたります。
そのため、原因になるウイルスや細菌が飛沫や接触で別の人にうつり、うつった相手ののどで炎症が起きれば、その人も扁桃炎やのどの炎症を発症することがあります。ただし、病原体が付いても必ず発症するわけではなく、体の抵抗力などによって症状が出ないこともあります。「基本的にうつらない」と説明されることもありますが、これは体内にもともといる菌が抵抗力の低下で暴れるケースを指しており、外から病原体をもらって発症する経路とは別の話です。どちらか一方だけを見ると誤解しやすいため、「炎症そのもの」と「原因の病原体」を分けて考えると整理しやすくなります。
何が原因?ウイルス性と細菌性(溶連菌)で感染性が変わる
扁桃炎やのどの感染症の多くはウイルスによるもので、一部が細菌によるものとされています。MSDマニュアル家庭版でも、のどの感染症の原因は通常はウイルスで、患者の約3分の1が細菌によるものと説明されています。原因がウイルスか細菌かで、感染性やうつる期間、治療の考え方が変わります。
| ウイルス性(多くを占める) | 細菌性(一部・溶連菌が代表) | |
|---|---|---|
| 主な病原体 | アデノウイルスなどのかぜのウイルス | A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)など |
| うつり方 | 飛沫・接触でうつる | 飛沫・接触でうつる |
| 治療 | 痛みや熱をやわらげる対症療法が中心 | 抗菌薬による治療が検討される |
| 多い年代 | 年齢を問わない | 主に5〜15歳の小児(3歳未満・高齢者ではまれ) |
症状の強さだけでウイルス性か細菌性かを見分けることは難しいとされています。とくに溶連菌による場合は、鼻水や咳が目立たず、突然の発熱とのどの痛みで始まることがあるとされ、抗菌薬による治療の対象になるかどうかは医師が診察・検査で判断します。原因による違いや治療の全体像は、急性咽頭炎・扁桃炎の原因と治療の解説もあわせてご確認ください。
どうやって・いつまでうつる?感染経路と感染期間
扁桃炎の原因になる病原体は、主に飛沫感染と接触感染でうつります。感染期間は原因によって異なり、とくに溶連菌では抗菌薬の内服で大きく変わります。まず経路を整理します。
- 飛沫感染:せきやくしゃみ、会話のときに飛ぶしぶきを吸い込んでうつります。
- 接触感染:病原体がついた手で口や鼻に触れる、コップ・食器・タオルの共有などを介してうつります。
うつる期間の目安として、代表的な溶連菌の流れを時系列で示します。潜伏期間や回復までの日数は、国立感染症研究所の情報に基づく目安です。
-
潜伏期間(2〜5日)
病原体が体に入り、発症の準備が進む
溶連菌ののどの感染では、潜伏期間は2〜5日とされています。なお、この潜伏期のあいだに人へうつす力があるかどうかは、はっきりわかっていないとされています。
-
発症〜数日
発熱・のどの痛みのピーク
突然の発熱・のどの痛み・全身のだるさで始まり、しばしば吐き気を伴います。治療をすると、発熱は通常3〜5日以内に下がっていくとされています。
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抗菌薬開始後 約24時間
人にうつす力が大きく下がる目安
溶連菌では、適切な抗菌薬を飲み始めておおむね24時間がたち、熱が下がるなど全身状態がよくなれば、登園・登校ができるとされています。薬は途中でやめず、決められた期間を飲み切ることが大切です。
-
1週間以内
主な症状が落ち着いていく
溶連菌ののどの感染は、主な症状は1週間以内に消えていくことが多く、経過は比較的良好とされています。
ウイルス性の場合の目安
ウイルス性の場合は、溶連菌のような「抗菌薬で感染力が下がる」という区切りがありません。一般に、のどの痛みや熱などの症状が出ている数日〜1週間ほどは、周囲にうつす可能性があると考えて予防を続けると安心です。うつる期間は原因のウイルスによっても異なります。
家族・子ども・パートナーにうつさないための予防
家庭内でうつさないためには、飛沫と接触の両方を減らす工夫が基本です。特別なことではなく、日常の感染対策をていねいに続けることが役立ちます。溶連菌は主に5〜15歳のお子さんに多いため、きょうだいのいる家庭ではとくに意識するとよいでしょう。
- 手洗いとうがいをこまめに行う。
- せき・くしゃみが出るときや看病のときはマスクを着ける。
- 部屋を乾燥させないよう加湿する(のどの粘膜を守る)。
- コップ・食器・タオル・歯みがきのコップなどを共有しない。
- 睡眠と栄養をとり、体の抵抗力を保つ。
キス・キス病(伝染性単核球症)との違い
唾液を介してうつる病原体もあるため、症状のあるあいだのキスや食器の共有は避けるほうがよいとされています。なお「キス病」と呼ばれる伝染性単核球症は、EBウイルスという別のウイルスが原因で、溶連菌による扁桃炎とは異なる病気です。のどの症状が似ていても原因が違うため、区別が必要な場合は医師にご相談ください。「性行為でうつる」といった情報は、扁桃炎の原因菌そのものの性質というより誤解が広まったもので、心配なときは受診して確認すると安心です。
うつったかも?受診の目安と何科を受診する
のどの痛みや発熱があるとき、まず急いで受診したほうがよいサインがないかを確認します。次のフローで整理してみましょう。
息が苦しい、つばが飲み込めずよだれが出る、口が開けにくい、くびが大きく腫れて強く痛む、のいずれかがある?
扁桃の周囲に膿がたまるなど、急いで治療が必要な状態のことがあります。ためらわず医療機関(救急を含む)を受診してください。
次の項目を確認します。
38℃以上の高熱・強いのどの痛み・扁桃の白いうみがあり、鼻水や咳は目立たない(溶連菌が疑われる)?
溶連菌などの細菌が原因のことがあります。早めに受診し、検査や治療が必要かを相談しましょう。
水分と休養をとって様子をみます。痛みや熱が強くなる・長引くときは受診を検討します。
受診の目安
強いのどの痛みや高熱が続く、水分がとれない、息が苦しい、口が開けにくいといったときは、早めに医療機関へ相談することがすすめられます。のどの症状が中心なら耳鼻咽喉科、発熱など全身の症状が強ければ内科でも対応できます。
溶連菌が疑われるときの治療と「飲み切る」理由
溶連菌などの細菌が原因の場合は、抗菌薬による治療が検討されます。国立感染症研究所によると、溶連菌ののどの感染ではペニシリン系の抗菌薬が第一選択とされています。一方、ウイルス性には抗菌薬は効かず、痛みや熱に対する対症療法が中心になります。どの薬を使うか、治療が必要かは、医師の診察・検査を経て判断されます。抗菌薬は市販されておらず、自己判断での使用はできません。
| 状況 | 主に使われる薬(一般名) | 用法の目安 |
|---|---|---|
| 基本(第一選択) | ペニシリン系のアモキシシリン(先発品のサワシリンなど) | 成人は1回250mgを1日3〜4回。小児は体重に応じて調整し、1日90mg/kgを超えないとされています。 |
| ペニシリンにアレルギーがある場合 | マクロライド系のアジスロマイシン(先発品のジスロマック) | 成人は500mgを1日1回、3日間(合計1.5g)が用法の一例です。 |
伝染性単核球症のときの注意
アモキシシリンやサワシリンは、伝染性単核球症(キス病)の人には使えないとされています(発疹が出やすくなるおそれがあるため)。のどの症状が似ていても原因が違うことがあるため、薬は必ず医師の診察・判断を経て処方されます。
抗菌薬は、症状が軽くなったように感じても、自己判断で中止せず、決められた期間を飲み切ることが大切とされています。途中でやめると菌が残る一因になるためです。溶連菌では、治療しないでいるとまれにリウマチ熱や急性糸球体腎炎、扁桃の周囲に膿がたまる合併症が知られており、これらを防ぐうえでも指示どおりに飲み切ることが重要とされています。
仕事・保育園・学校はいつから?復帰の目安
復帰の目安は原因によって異なります。溶連菌の場合、こども家庭庁の保育所向けガイドラインなどでは、適切な抗菌薬を飲み始めておおむね24時間がたち、熱が下がるなど全身状態がよければ登園・登校ができるとされています。大人の仕事復帰も、これに準じて考えられることが多いですが、職場のルールや体調に応じて判断します。
ウイルス性の場合は、抗菌薬による明確な区切りがないため、熱が下がり、のどの痛みなどの症状が落ち着いて全身状態が回復してからが目安になります。いずれの場合も、周囲にうつさないよう、復帰後しばらくは手洗い・マスクなどの対策を続けると安心です。登園・登校や出勤の可否で迷うときは、受診した医療機関に相談してください。
オンライン診療でできること・できないこと(保険の考え方)
のどの症状の相談は、オンライン診療で対応できる場合があります。スマホやパソコンから医師に症状を伝え、生活上のアドバイスや、状況に応じて処方につながることもあります。一方で、次のような場合は対面での診察が必要です。
- オンラインで相談しやすい:軽いのどの痛みやかぜ症状の相談、うつさないための予防や復帰時期の相談。
- 対面が必要:溶連菌などの検査が必要、扁桃を直接みる必要がある、強い痛みや高熱が続く、原因をくわしく調べる必要がある場合。
- 緊急:息が苦しい・水が飲み込めない・口が開けにくいなどのサインがあるときは、オンラインではなく直ちに対面(救急を含む)を受診します。
費用について、扁桃炎やのどの感染症の診療は公的医療保険の対象となるのが一般的で、自己負担は年齢や所得に応じて原則1〜3割です。オンライン診療も、保険診療の条件を満たせば保険が適用され、満たさない場合は対面受診が案内されます。のどの痛みそのものの家でのケアについては、喉が痛い時の対処と受診の目安もあわせてご覧ください。
まとめ
「扁桃炎」という炎症そのものがうつるわけではありませんが、原因になるウイルスや細菌(とくに溶連菌)は飛沫・接触でうつり、うつった相手が扁桃炎やのどの炎症を起こすことがあります。うつりやすさや期間は原因で変わり、溶連菌では抗菌薬を飲み始めておおむね24時間がたち全身状態がよければ、人にうつす力は大きく下がるとされています。家庭内では手洗い・うがい・マスク・加湿・食器やタオルの共有を避けることが基本です。息が苦しい・水が飲み込めない・口が開けにくいなどは急いで受診が必要なサインです。溶連菌が疑われるときの治療や受診の目安は、急性咽頭炎・扁桃炎のページもご確認ください。
扁桃炎の感染に関するよくある質問
参考文献
- A群溶血性レンサ球菌咽頭炎とは|国立感染症研究所(niid.go.jp、2026年8月16日参照)
- 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)|こども家庭庁(cfa.go.jp、2026年8月16日参照)
- 扁桃咽頭炎|MSDマニュアル家庭版(msdmanuals.com、2026年8月16日参照)
- 扁桃炎の原因を医師が解説―人にうつるの?予防対策はあるの?|メディカルノート(medicalnote.jp、2026年8月16日参照)
石川雅俊(いしかわ まさとし) 医師/博士(医療福祉経営学)/公衆衛生学修士(MPH) 2005年筑波大学医学専門学群卒業。臨床研修を経て内科を中心に診療に従事したのち、2008年…
最終更新日:2026年8月 / 本ページの情報は一般的な医学的知見に基づくものであり、個別の診断・治療を保証するものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。
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