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COLUMN

LDLコレステロールが低い原因と受診の目安|何科・治し方も解説

監修医師
石川 雅俊 医師 / 医師/博士(医療福祉経営学)/MPH

LDLコレステロールが低いのは問題?何mg/dLから低いのか、体質か病気か、以前から低い/最近下がったの切り分け、受診の目安・何科・検査、上げる薬の有無まで、原因の見きわめと受診判断を整理します。

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健康診断や人間ドックで「LDLコレステロールが低い」「要経過観察」と指摘され、悪玉が低いのは良いことのはずなのに、なぜ引っかかったのだろうと戸惑っていませんか。この記事では、LDLが低いとは何mg/dLからを指すのか、低いこと自体が問題なのか、なぜ低くなるのか、放置していいか受診すべきかを整理します。結論として、LDLが低いこと自体は体質などで直ちに問題にならないことが多い一方、「低いほど良い」とは言えません。判断の分かれ道は「以前から安定して低い」か「最近急に下がった」か、そして体重減少や動悸などの症状を伴うかどうかです。急に下がった場合や症状があるときは、背景の病気を調べるために内科での相談が勧められます。

結論・この記事のポイント

この記事のポイント

  • LDLが低いこと自体は、体質などで直ちに問題にならないことが多いです。ただし「悪玉だから低いほど良い」は誤りで、コレステロールは細胞膜やホルモン、栄養を運ぶ材料です。
  • 判断の分かれ道は「以前から安定して低い」か「最近急に下がった」か、そして体重減少・動悸・下痢などの症状を伴うかどうかです。
  • 急に下がった、症状を伴うといった場合は、甲状腺機能亢進症・肝臓の病気・栄養や吸収の問題・悪性腫瘍などが背景にないかを調べるため、内科で相談します。
  • 低いLDLを薬で上げる治療は通常はなく、原因が見つかればその治療が中心です(まれな遺伝性の病気ではビタミンEなどを補います)。
  • スタチンなど「LDLを下げる薬」を飲んでいて下がりすぎた場合は、自己判断で中止せず、まず処方した医師に相談します。

LDL(悪玉)コレステロールとは?「低い」とは何mg/dLから

LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを全身へ運ぶ役割を持つ、体に必要な脂質です。いわゆる「悪玉」と呼ばれるのは、増えすぎると血管の壁にたまって動脈硬化を進めるためで、コレステロールそのものが不要という意味ではありません。コレステロールは、細胞を包む膜、ホルモン、ビタミンD、脂肪の消化を助ける胆汁酸などの材料になり、少なすぎても体には不利にはたらきます。

「低い」の目安には、いくつかの基準があります。数値は健診の基準範囲、臨床的に低いとみなす目安、医学的な「低脂血症」の定義で少しずつ異なります。下の表で整理します。数値は目安で、1回の結果だけで異常と判断するものではありません。

区分 LDLコレステロールの目安 補足
一般的な基準範囲 およそ60〜119mg/dL 健診・人間ドックで用いられる基準範囲の目安です。
臨床的に「低い」とされる目安 70mg/dL未満 治療の管理目標などに由来する、臨床上の低値の目安です。
「低脂血症」の定義 LDL 50mg/dL未満(または総コレステロール120mg/dL未満) 医学的に低脂血症(低リポタンパク血症)とされる水準です。
(参考)高いとされる目安 140mg/dL以上 高LDLコレステロール血症=脂質異常症の診断に用いられる値です。

つまり、健診で「基準より少し低い」程度なのか、50mg/dLを下回るような明らかな低値なのかで、意味合いが変わってきます。とくに、以前は普通だった値が最近になって下がった場合には、背景を確かめる価値があります。

「低いほど良い」は本当?LDLが低いと体に起こること

「悪玉だから低ければ低いほど良い」というのは誤りです。LDLが運ぶコレステロールは、細胞膜・ホルモン・栄養の材料として体に欠かせないため、極端に少ないと不利な面が出てきます。指摘される影響としては、細胞やホルモンの材料が不足しやすいこと、免疫や血管の壁の丈夫さに関わる可能性などが挙げられます。ただし、健診で少し低い程度の多くは体質によるもので、すぐに症状が出るわけではありません。

補足:低値と病気の「関連の報告」について

研究のなかには、総コレステロールが著しく低い集団で、がんや出血性の脳卒中による死亡が多かったとする報告があります。ただし、これは「低いコレステロールが病気を引き起こす」という因果関係を示したものではなく、もともとある病気が結果的にコレステロールを下げている可能性も含みます。低値そのものを過度に心配する必要はありませんが、急に下がった・症状を伴うときは背景を確かめる、という考え方が現実的です。

LDLが低い原因|体質・続発性の病気・まれな遺伝性の3層

LDLが低くなる原因は、大きく「体質(原発性)」「ほかの病気による続発性」「まれな遺伝性」の3層で整理できます。多くは体質によるものですが、なかには治療が必要な病気が背景にあることもあるため、次の順に確認していきます。

①体質(原発性)=以前から安定して低い場合

もっとも多いのが、体質としてもともとLDLが低いタイプです。以前から安定して低く、体重や食欲、体調に変化がなく、肝機能や甲状腺の検査にも異常がなければ、経過観察でよいことが多いとされています。やせ型の人や、脂質をあまりとらない食生活の人でも低めに出やすい傾向があります。この場合は、次回の健診で推移を確認していけば十分なことが多いです。

②続発性=ほかの病気が背景にある場合

最近になって下がった、症状を伴うといった場合は、ほかの病気が背景にある「続発性」の低下を考えます。代表的なものとして、次のような病気が挙げられます。甲状腺の働きが過剰になる甲状腺機能亢進症、肝硬変や重い肝炎などの肝臓の病気、栄養不足や腸での吸収がうまくいかない吸収不良、悪性腫瘍(がん)、慢性の感染症、貧血などです。これらは、コレステロールの合成や材料の供給が減ることで、LDLが下がることがあります。背景の病気に応じて対応が変わるため、確認が大切です。

③まれな遺伝性の病気

頻度は高くありませんが、遺伝的にコレステロールを運ぶ仕組みがうまく働かず、生まれつきLDLが非常に低くなる病気があります。無βリポタンパク血症や低βリポタンパク血症、カイロミクロン停滞病、PCSK9という遺伝子の変化などが知られています。重い型では、脂肪の便(脂肪便)、成長の遅れ、神経や目の症状などが乳幼児期から現れることがあります。健診で偶然見つかった成人の軽い低値とは分けて考えるもので、幼少期からの著しい低値や症状がある場合に検討されます。

「以前から低い」か「最近急に下がった」か=判断の分かれ道

低いLDLを放置していいかどうかの最大の判断材料は、数値そのものよりも「経過」と「症状」です。以前から安定して低いのか、最近になって下がったのか、そして体調の変化を伴うのかで、様子を見てよいか、受診したほうがよいかが分かれます。次のフローを目安にしてください。

LDLを下げる薬(スタチンなど)を飲んでいますか?

飲んでいる

薬の効果で下がっている可能性があります。自己判断で中止せず、処方した医師に値を相談します(後述)。

飲んでいない

次の項目を確認します。

以前から安定して低いですか、それとも最近になって下がりましたか?

以前から安定して低い

体質のことが多く、体調の変化がなければ経過観察でよい場合が多いです。次の項目もあわせて確認します。

最近下がった

背景の病気を確かめる価値があります。次の項目を確認します。

体重減少・食欲低下・動悸や発汗・手のふるえ・慢性の下痢などの症状がありますか?

ある

甲状腺・肝臓・栄養・吸収などの背景を調べるため、内科での相談が勧められます。

ない

経過観察でよいことが多いです。気になる場合や次回健診での推移が心配な場合は、内科で相談できます。

受診の目安

意図しない体重減少、食欲の低下、動悸・発汗・手のふるえ、慢性的な下痢、強いだるさなどを伴うとき、あるいはこれまで普通だったLDLが最近になって明らかに下がったときは、医療機関で相談することが勧められます。こうした症状は、甲状腺機能亢進症や吸収の問題などのサインになることがあります。

何科を受診?どんな検査をするの

LDLが低いことで受診する場合は、まず内科が相談先の目安です。甲状腺や肝臓、栄養状態など幅広く確認できるため、内分泌・代謝を診る内科であればより専門的に対応してもらえます。検査は、低い値の背景を探るために行われます。具体的には、甲状腺の働きを調べる血液検査(TSH・FT4など)、肝臓の機能を調べる検査、栄養状態や貧血をみる血算・アルブミンなどが基本になります。必要に応じて、腫瘍マーカーや画像検査(CTなど)が追加されることもあります。

これらは主に採血で調べるため、原因の初回の見きわめには、医療機関での採血が必要になります。どの検査をどこまで行うかは、症状や経過をふまえて医師が判断します。数値だけで慌てず、必要な検査で背景を確かめることが、正しい対応につながります。

LDLが低いのは治せる?上げる薬はあるの

LDLが低いことに対して、値そのものを薬で上げる治療は、通常は行われません。基本の考え方は、低さの原因を探し、原因となる病気が見つかればその治療を行うことです。たとえば甲状腺機能亢進症が背景なら甲状腺の治療を、吸収不良や栄養不足が背景なら食事や栄養の調整を行うことで、結果的にLDLも整っていくことが期待されます。体質による低値で症状がなければ、特別な治療をせず経過をみることが多いです。

例外的に、前述したまれな遺伝性の重い低脂血症では、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の不足を補う治療が行われ、とくに高用量のビタミンEなどが用いられることがあります。これは特殊な病態への対応で、健診で見つかった軽い低値に当てはまるものではありません。いずれにしても、自己判断で脂っこい食事を増やして値を上げようとする必要はなく、まずは原因を確かめることが先決です。

スタチンなど「下げる薬」を飲んでいて下がりすぎたときは

すでにLDLを下げる薬を飲んでいる人で値が下がりすぎた場合は、自己判断で中止せず、処方した医師に相談してください。クレストール(ロスバスタチン)やリピトール(アトルバスタチン)などのスタチン、ゼチーア(エゼチミブ)は、いずれも高コレステロール血症や家族性高コレステロール血症といった「LDLが高い人」に対して、LDLを下げる目的で使われる薬です。効果が出て値が下がること自体は薬の作用によるもので、下がりすぎているかどうかや、量の調整が必要かは、検査値をみて医師が判断します。

自己判断で中止しないでください

これらの薬は原則として継続して服用する薬で、自己判断で中止すると脂質の値が再び乱れ、治療のバランスが崩れることがあります。値が下がりすぎて気になるときは、やめる・減らすを自分で決めず、処方した医師に相談して調整してもらいます。

オンライン診療でできること・できないこと

LDLが低いときの相談は、内容によってオンライン診療と対面を使い分けます。原因を確かめる採血や初めての精査は対面が基本ですが、結果の説明や生活の相談などはオンラインでも対応できることがあります。おおまかな流れは次のとおりです。

  1. 問診・状況の整理

    いつからの低値か、以前の値との比較、体重や食欲の変化、飲んでいる薬などを整理して相談します。ここまではオンラインでも対応できます。

  2. 必要な検査の見きわめ

    背景の病気を調べる採血(甲状腺・肝機能・栄養など)が必要と判断されれば、対面での採血・検査を案内されます。原因の初回の精査は対面が基本です。

  3. 結果説明・生活の相談・経過の確認

    検査結果の説明や、食事・生活の相談、経過観察の確認などは、状況に応じてオンラインでも対応できることがあります。症状が強い場合や再検査が必要な場合は、対面受診を案内されます。

どこまでをオンラインで行えるかは、症状や検査の必要性によって変わります。はじめての低値で原因の確認が必要なときは、対面での診察・採血が向いています。

低HDL・総コレステロールが低いのとの違い(この記事の位置づけ)

「コレステロールが低い」と一口に言っても、どの数値が低いかで意味が変わります。この記事が扱うのはLDL(悪玉)が低いケースですが、混同されやすい2つと整理しておきます。まず、脂質異常症の診断基準に「低い」項目として入るのは、LDLではなくHDL(善玉)が40mg/dL未満に下がる低HDLコレステロール血症です。低HDLは動脈硬化のリスク側の異常で、LDLが低いのとは方向が異なります。一方、LDL単独が低いこと自体は、標準的な脂質異常症の診断基準には含まれません。

また、総コレステロールが低い場合は、HDLやLDL、中性脂肪など複数の脂質が同時に下がっていることもあり、原因の考え方は共通する部分が多いものの、切り口が少し異なります。脂質の値が基準から外れた状態全般については、脂質異常症(通常はLDLなどが高い状態)の解説ページもあわせてご覧ください。LDLが低いことは、その大きな枠組みのなかの一つの見え方として位置づけられます。

まとめ

LDLコレステロールが低いこと自体は、体質などで直ちに問題にならないことが多い一方、「低いほど良い」とは言えません。判断の分かれ道は、以前から安定して低いのか最近急に下がったのか、そして体重減少・動悸・下痢などの症状を伴うかどうかです。薬を飲んでいて下がった場合は自己判断で中止せず主治医に相談し、未治療で急に下がった・症状があるときは、甲状腺・肝臓・栄養などの背景を調べるために内科で相談します。低い値を薬で上げる治療は通常なく、原因が見つかればその治療が中心です。脂質全体の考え方は脂質異常症の解説ページもご覧ください。

LDLコレステロールが低いときに関するよくある質問

参考文献

  • 低脂血症(低リポタンパク血症)|MSDマニュアル家庭版(msdmanuals.com、2026年8月17日参照)
  • 動脈硬化性疾患予防ガイドライン|日本動脈硬化学会(j-athero.org、2026年8月17日参照)
  • 脂質異常症|e-ヘルスネット(厚生労働省)(e-healthnet.mhlw.go.jp、2026年8月17日参照)
  • 健診でLDLが低いと言われた方へ(内分泌代謝専門医の解説)|玉寄クリニック(tamayose-cl.jp、2026年8月17日参照)
  • 低コレステロール血症の原因と対応|ひろつ内科クリニック(hirotsu.clinic、2026年8月17日参照)
  • コレステロール(LDL)が低すぎると言われたら|かとう内科(katonai.com、2026年8月17日参照)
監修者プロフィール
石川 雅俊 医師
医師/博士(医療福祉経営学)/MPH

石川雅俊(いしかわ まさとし) 医師/博士(医療福祉経営学)/公衆衛生学修士(MPH) 2005年筑波大学医学専門学群卒業。臨床研修を経て内科を中心に診療に従事したのち、2008年…

最終更新日:2026年8月 / 本ページの情報は一般的な医学的知見に基づくものであり、個別の診断・治療を保証するものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。

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