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COLUMN

五苓散の効果とは|むくみ・頭痛・二日酔いに効く症状と飲み方

監修医師
石川 雅俊 医師 / 医師/博士(医療福祉経営学)/MPH

五苓散の効果を、添付文書などの公的情報をもとに解説します。口渇と尿量減少を伴う「水滞」に用いられ、むくみ・頭痛・めまい・吐き気や下痢・二日酔いに使われる理由や飲み方、甘草を含まない点、似た漢方との使い分け、処方の流れと保険を整理します。

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「五苓散(ごれいさん)は結局どんな症状に効くの?」「むくみや頭痛、二日酔いに効くと聞くけれど本当?」と気になる方は多いと思います。この記事では、医療用の五苓散エキス製剤について、効くとされる症状と効きにくいケース、「水滞(すいたい)」という考え方、飲み方や副作用、似た漢方との使い分け、処方の流れと保険までを、添付文書などの公的情報をもとに整理します。五苓散は医師の診察・判断にもとづいて処方される医療用医薬品で、保険が使えるかどうかは診察の内容によって異なります。

まず知りたい要点(結論)

この記事のポイント

  • 五苓散は、口渇があって尿量が減るような「水滞(体の中で水分がかたよった状態)」に用いられる漢方です。
  • むくみ・頭痛(天気痛など)・めまい・吐き気や下痢・二日酔いなど、水分の偏りに関連するとされる幅広い症状に使われます。
  • 多くの漢方で注意される甘草(カンゾウ)を含まないため、甘草による偽アルドステロン症の心配は、この処方の構成上は該当しません。
  • 添付文書に「使ってはいけない(禁忌)」の定めはありませんが、用いるかどうかは体質・症状をふまえた医師の判断によります。
  • 医療用の五苓散は保険適用の対象となる医療用医薬品で、処方は医師の診察・判断を経て行われます。

五苓散とは|「水滞」に用いる5つの生薬からなる漢方

五苓散は、体の中の水分の偏り(漢方でいう「水滞」)に用いられる代表的な漢方エキス製剤です(ツムラでは処方番号17)。医療用では、通常、成人1日量7.5gを2〜3回に分けて服用します。沢瀉(タクシャ)を主薬に、次の5種類の生薬から構成されています。基本的な情報は、五苓散(医療用)の解説ページでも確認できます。

生薬名 はたらきの目安
沢瀉(タクシャ) 主薬。体内の水分の偏りを整えるとされる生薬
蒼朮(ソウジュツ) 水分代謝のかたよりを整えるとされる生薬
猪苓(チョレイ) 水分の偏りを整えるとされる生薬
茯苓(ブクリョウ) 水分の偏りを整えるとされる生薬
桂皮(ケイヒ) シナモンの仲間。上記の生薬と組み合わされる

後で説明するように、五苓散は甘草(カンゾウ)・麻黄(マオウ)・附子(ブシ)・山梔子(サンシシ)を含みません。この点は、副作用・注意点を考えるうえで大切なポイントになります。急性の症状にも、比較的経過の長い症状にも用いられる処方とされています。

「水滞」とは

五苓散が目標とする「水滞」は、のどが渇く(口渇)のに尿の量は減っている、というように、体の中で水分の分布がかたよった状態を指す漢方の考え方です。むくみ・頭痛・めまい・吐き気などは、この水分の偏りに関連するとされています。

五苓散はどんな症状に効く?(効果・効能)

五苓散は、口渇があって尿量が減少するといった状態を目標に、水分の偏りに関連するとされる次のような諸症に用いられます。医療用の添付文書に記載された効能・効果は、次のとおりです。

  • 口渇、尿量減少するものの次の諸症
  • 浮腫(むくみ)、ネフローゼ
  • 二日酔
  • 急性胃腸カタル、下痢、悪心(吐き気)、嘔吐
  • めまい、胃内停水
  • 頭痛
  • 尿毒症、暑気あたり、糖尿病

このように五苓散は幅広い症状に使われますが、実際に用いるかどうか、また症状が五苓散の目標に合うかどうかは、医師の診察によって判断されます。ここでは検索の多い代表的な症状ごとに、もう少しくわしく整理します。

むくみ

五苓散は、水分の偏りに関連するとされるむくみ(浮腫)に用いられることがあります。とくに口渇があって尿量が減っているようなタイプが目標とされます。むくみそのものについてはむくみ(浮腫)の解説もあわせてご覧ください。ただし、むくみにはさまざまな原因があり、背景に治療が必要な病気が隠れていることもあるため、続くむくみは自己判断せず医師にご相談ください。

頭痛(天気痛・低気圧の頭痛をふくむ)

五苓散は頭痛にも用いられ、とくに雨や台風の前など気圧の変化で起こる頭痛(いわゆる天気痛)で使われることがあります。この背景として、天気痛に関連する研究報告が知られています。頭痛全般については頭痛の解説もご覧ください。

豆知識:天気痛と五苓散の研究

熊本大学などの研究グループは、低気圧の環境で増えた脳の血流量の増加を、五苓散(ソウジュツ配合)が抑えたとする研究結果を学会(第94回日本薬理学会年会、2021年)で発表しています。これは研究段階の報告であり、効果を保証するものではありませんが、天気痛の場面で五苓散が用いられる背景のひとつとされています。

なお、ズキズキと脈打つ片頭痛で、吐き気や手足の冷えを伴うようなタイプには、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)など別の漢方が用いられることもあります。どの頭痛にどの薬が合うかは、症状のタイプをふまえて医師が判断します。

めまい

五苓散は、水分の偏りに関連するとされるめまいにも用いられることがあります。めまいには耳や脳など多くの原因があり、繰り返す・強い・手足のしびれや歩きにくさを伴うといった場合は、別の対応が必要なことがあります。めまいの解説もあわせてご確認ください。

吐き気・嘔吐・下痢(急性胃腸炎)

五苓散は、急性胃腸カタル(急性胃腸炎)に伴う下痢・吐き気・嘔吐などにも用いられます。水を飲んでも吐いてしまうような、水分の偏りが疑われる状態が目標とされます。吐き気の解説や下痢症の解説もご覧ください。水分がとれずぐったりする、症状が強い・長引くといった場合は、早めに医療機関へご相談ください。

二日酔い

五苓散は、添付文書の効能・効果に「二日酔」が挙げられており、飲みすぎた後の頭痛やむくみ、吐き気などに用いられることがあります。急性の症状に対して用いられる場面のひとつですが、飲酒量を控えることが基本であることは変わりません。

水滞の考え方と、利尿剤(西洋薬)との違い

五苓散は、体の中の水分の偏り(水滞)を整えると考えられている漢方です。漢方製剤は複数の生薬が総合的に作用するとされ、ひとつの成分の働きだけで説明されるものではありません。添付文書にも、くわしい作用のしくみ(機序)は記載されていません。

よく比べられる西洋薬の利尿剤(利尿薬)は、体の水分(尿)を積極的に外へ出すことを目的とした薬です。一方で五苓散は、水分を一律に排出するというより、体の水分の偏りを整えるという考え方にもとづいて用いられる、という違いがあります。どちらが適しているかは、症状や体の状態をふまえて医師が判断します。

五苓散が効く状態・効きにくい状態

五苓散は、飲む方の状態が「水滞(口渇があって尿量が減る、水分の偏り)」の目標に合うかどうかで、向く場合と向きにくい場合があります。次の流れで、おおまかな目安を確認してみましょう。最終的に用いるかどうかは医師が判断します。

のどが渇くのに尿量が減っている、体の中で水分がかたよっていると感じる?

あてはまる

五苓散が用いられる状態の目安にあたります。次の項目も確認します。

あてはまらない

五苓散以外の対応が検討される場合があります。医師・薬剤師にご相談ください。

むくみ・頭痛・めまい・吐き気や下痢・二日酔いなど、水分の偏りに関連する症状がある?

ある

目安に近い状態です。医師の診察で、五苓散が適しているか判断されます。

迷う・当てはまらない

オンライン診療などで相談し、対面が必要かも含めて判断してもらう方法があります。

受診の目安

服用しても症状が改善しない、または悪化する場合や、むくみ・頭痛・めまいなどが続く場合は、背景に別の原因があることもあります。早めに医療機関へご相談ください。どの薬が適しているかは、状態をふまえて医師が判断します。

飲み方・タイミングと、効果のあらわれ方

五苓散は、食前または食間(食事と食事の間の空腹時)に服用するのが基本です。飲み方の目安は次のとおりです。

項目 目安
1日の量(成人) 7.5gを2〜3回に分割
飲むタイミング 食前または食間(空腹時)
飲むもの 水または白湯(さゆ)
用量の調整 年齢・体重・症状により医師が適宜増減

効果のあらわれ方には個人差があります。二日酔や急性の下痢・嘔吐、頭痛など急性の症状に用いる場合と、むくみなど比較的経過の長い症状に用いる場合があり、いずれも症状や体質によって異なります。何時間・何日で効く、と一律に決まっているものではありません。効果が感じられない場合や症状が続く場合は、医師にご相談ください。

注意

用量は症状などに応じて医師が調整します。効きが悪いと感じても、自己判断で量を増やしたり、他の薬と重ねて飲んだりしないようにします。

副作用・注意・禁忌

五苓散にも副作用や、使用にあたって知っておきたい注意点があります。「やばい」といった評判を目にすることもありますが、ここでは添付文書などの公的情報にもとづいて、正確に整理します。

主な副作用

医療用の五苓散の添付文書では、次のような副作用が記載されています(いずれも頻度は不明とされています)。

  • 過敏症:発疹、発赤、瘙痒(かゆみ)など
  • 肝機能異常:AST、ALT、γ-GTPなどの上昇

こんな症状に気づいたら服用を中止し、医師・薬剤師へ相談

発疹・発赤・かゆみなどの過敏症状や、倦怠感・食欲不振・皮膚や白目が黄色くなる(黄疸)など、肝機能異常を疑う症状があらわれた場合は、服用を中止してご相談ください。

甘草(カンゾウ)を含まないこと

多くの漢方薬に含まれる甘草は、とりすぎると偽アルドステロン症(血圧上昇・むくみ・体のだるさ・手足の力が入りにくいなど)につながることがあります。五苓散の構成生薬は沢瀉・蒼朮・猪苓・茯苓・桂皮の5種類で、甘草を含みません。そのため、甘草による偽アルドステロン症の注意は、この処方の構成上は該当しません。ただし、他に甘草を含む漢方薬や製剤を併用する場合は、成分が重なることがあるため、医師・薬剤師にご相談ください。

禁忌(使ってはいけない場合)について

医療用の五苓散の添付文書には、絶対に使ってはいけないとする「禁忌」の定めはありません。ただし、これは「誰でも自己判断で使ってよい」という意味ではありません。体質・症状・持病・妊娠や授乳の有無などをふまえて、用いるかどうかは医師が判断します。なお、一部の情報で「腎不全・無尿の人は禁忌」などと書かれていることがありますが、医療用の添付文書に禁忌の定めはありません。持病がある方は、事前に医師へお伝えください。

妊娠中・授乳中・子ども・高齢の方

  • 妊娠中:妊婦または妊娠している可能性のある方には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与されます。自己判断はせず医師にご相談ください。
  • 授乳中:治療上の有益性と、母乳で育てることの有益性を考慮して、授乳の継続または中止が検討されます。
  • 子ども:小児等を対象とした臨床試験は実施されていないため、使用の可否・用量は医師の判断によります。
  • 高齢の方:一般に生理機能が低下していることが多いため、減量するなど注意して使用します。

似た漢方との使い分け(猪苓湯・柴苓湯など)

水分の偏りに関連する漢方には、五苓散のほかにもいくつかの処方があります。どれを使うかは、目立つ症状によって医師が判断します。おおまかな使い分けの目安は次のとおりです。

漢方 用いられる場面の目安
五苓散 口渇があり尿量が減るタイプの、むくみ・頭痛・めまい・吐き気や下痢・二日酔いなど
猪苓湯(ちょれいとう) 排尿のトラブルや尿量減少を目標に用いられることがある
柴苓湯(さいれいとう) 五苓散に小柴胡湯を合わせた処方とされ、炎症を伴う吐き気・下痢などに用いられることがある
茵蔯五苓散(いんちんごれいさん) 五苓散に茵蔯蒿を加えた処方とされ、口渇・尿量減少に黄疸傾向などを伴う場合に用いられることがある
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう) めまい・立ちくらみなど、水分の偏りに関連する症状に用いられることがある

いずれの処方を用いるかは、症状や体質をふまえて医師が判断します。自己判断で選ばず、気になる症状は診察時にご相談ください。

市販と医療用の違い・処方の流れと費用・保険

五苓散には、同じ名前の一般用漢方製剤(市販のOTC)もあります。ただし、医療用と一般用では、認められている効能・効果の表現や1日量、剤形が異なる場合があります。医療用の五苓散は、医師の診察・判断のもとで用います。おおまかな処方の流れは次のとおりです。

  1. 症状を整理して予約・問診する

    いつからどんな症状があるか(口渇・尿量・むくみ・頭痛・天気との関係など)を整理し、予約して問診に回答します。

  2. 医師の診察・判断を受ける

    医師が症状や体質を確認し、五苓散が適しているか、他の対応がよいかを判断します。

  3. 処方、または対面受診の案内を受ける

    処方が適切と判断されれば処方されます。対面での診察や検査が必要と判断された場合は、対面受診が案内されます。

費用については、医療用のツムラ五苓散エキス顆粒は保険適用の対象となる医療用医薬品で、薬価は1gあたり13.5円とされています(薬価は改定により変動する場合があります)。1日量7.5gの場合、薬価ベースで1日あたり約101.25円(13.5円×7.5g)となります。ただし、保険が使えるかどうかは診察の内容によって異なり、要件を満たせば保険診療となる一方、対面での診察が必要と判断された場合には対面受診が案内されます。実際の窓口でのご負担は、保険の自己負担割合(多くは3割)や診察料などによって変わります。詳しくは料金のページをご確認ください。オンライン診療で処方が可能かどうかも、症状や体質をふまえた医師の判断によります。

まとめ

五苓散は、口渇があって尿量が減るような「水滞(体の中の水分の偏り)」に用いられる漢方で、むくみ・頭痛(天気痛など)・めまい・吐き気や下痢・二日酔いなど、水分の偏りに関連するとされる幅広い症状に使われます。多くの漢方で注意される甘草を含まないため、甘草による偽アルドステロン症の心配は構成上該当しませんが、「禁忌がない=誰でも自己判断で使える」という意味ではありません。効果のあらわれ方には個人差があり、症状が続く・悪化する場合は医師にご相談ください。医療用の五苓散は保険適用の対象となる医療用医薬品で、処方は医師の診察・判断を経て行われます。五苓散の使いどころや処方については、五苓散の解説ページもあわせてご覧ください。

五苓散に関するよくある質問

参考文献

  • 医療用医薬品:五苓散(ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用))|KEGG MEDICUS(JAPIC 添付文書)(kegg.jp、2026年8月15日参照)
  • ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)の基本情報(添付文書)|日経メディカル処方薬事典(medical.nikkeibp.co.jp、2026年8月15日参照)
  • ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)の添付文書|医薬情報QLifePro(meds.qlifepro.com、2026年8月15日参照)
  • 五苓散(ソウジュツ配合)の天気頭痛への効果を発見(第94回日本薬理学会年会 発表)|熊本大学(kumamoto-u.ac.jp、2026年8月15日参照)
監修者プロフィール
石川 雅俊 医師
医師/博士(医療福祉経営学)/MPH

石川雅俊(いしかわ まさとし) 医師/博士(医療福祉経営学)/公衆衛生学修士(MPH) 2005年筑波大学医学専門学群卒業。臨床研修を経て内科を中心に診療に従事したのち、2008年…

最終更新日:2026年8月 / 本ページの情報は一般的な医学的知見に基づくものであり、個別の診断・治療を保証するものではありません。症状が続く場合は医療機関にご相談ください。

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